まず粘度の違いについて解説する前に、基本であるエンジンオイルの粘度を知るために使われている記号の見方から先に説明していきます。
エンジンオイルの粘度を表す記号の見方を知る
エンジンオイルは、粘度を表すのにSAE規格が用いられていることが一般的です。
そのSAE規格では、〇W-●●(5W-30や10W-60など)といったグレードが表記されています。
Wというのは冬という意味をもつ「Winter(ウィンター)」の頭文字となっており、-(ハイフン)より前の数値は低温時の粘度を表し、後の数値は高温時の粘度を表しています。
※SAE規格とは…
アメリカにおける機械関連の各専門家たちを会員とする非営利団体、自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers)が定める規格です。
自動車をはじめ、トラック、航空機、船舶などあらゆる自動動力で動く機械関連を標準化している機構で、オイル規格もその中のひとつとなります。
〇Wの数値が小さいほど低温時の流動性が高い
〇Wの数字が小さくなるほど燃費が良くなったり、低温時の流動性が高くなったりする(始動性に優れる)といった特徴があります。
例えば、20W-●●よりも10W-●●の方が寒さに強いということになります。
つまり、10W-●●の方が、低温時でも柔らかいオイルであり、寒い朝であってもエンジンの始動性が良く、燃費が良くなるといった効果があります。
特にエコカーなどは、燃費を良くするために低粘度のオイルが指定されている場合が多いようです。
Wより前の数値が低くければ、寒さに強く始動性に優れ燃費が良いことになります。
後ろの数値が大きいほど高温になっても硬さを保てる
〇〇の数値が高いほど高温時(気温というよりはエンジンを高回転で回すときなど)に硬さを保つことができます。
一般的にこの数値が高いオイルは、高回転で回すことの多いスポーツカーに使用される場合が多いといえます。
一般車でいうと、油温が上がりやすいターボ車やサーキットと併用する車などが該当します。
主に、エンジンを高温から保護するための有効な手段として用いられます。
ほかには、走行距離が増えてきた車やエンジンオイルの消費量が多い車(空冷エンジンなどの古い車)に粘度が高いオイルを使うと、消費量を減らすことができたりトルク特性の改善になったりします。
デメリットとしては、エンジンが回るときの抵抗が大きくなってしまうので始動性が悪くなってしまったり燃費が悪くなってしまったりしてしまいます。
後ろの数値が高ければ高温に強くオイルの消費量を減らせる反面、指導性が悪く燃費も悪化してしまうということになります。
エンジンオイルの粘度を間違えると故障する?
結論から先にいうと、エンジンオイルの粘度を間違えたからといって故障するようなことはありません。
しかし、自動車メーカーが推奨する粘度から極端に変更はしない方が無難です。
例えば、0W-20とか5W-20のような低粘度なオイルの場合、エコカーには適しているのですがエコカー以外の車には適しているとはいえません。
エンジンオイルがもつ本来のエンジン保護機能が十分に発揮されなくなってしまいますので、エンジン内部にダメージを与えてしまうことになるかもしれません。
まとめ
「エンジンオイルの役割と種類は?粘度を間違えると故障する?」いかがだったでしょうか。
これまでのことをまとめると、
・低粘度オイル…燃費が良い、指導性に優れる
・高粘度オイル…エンジン保護、オイル消費量が減らせる
といったそれぞれのメリットがあります。
粘度に関しては、あくまでメーカーが推奨する指定オイルが理想的ですが、自身の愛車や環境に合った条件のオイルをみつけるということが重要になります。